竹橋

土曜日。竹橋の美術館で開催中の鏑木清方の展覧会を見に行こうということになり、友達と連れ立っていく。遅いお昼を丸の内でとってのんびりくつろいだ後、お堀づたいに歩いていく。

土日とはいえ、午後の遅いほうの時間になると会場は比較的空いているのではないかと思って、その時間に行った。

有名な三名の美女、新富町、築地明石町、浜松河岸が並んで展示される。清方の美人画や風俗画が好きで、本やばらばらに展示される展覧会にはいくけれど、このように鏑木清方ばかりの展覧会はあまりないので、まとめて見られてうれしい。本人のインタビュー音声が会場内に流れていたので聞く。

有名な三名の美女のあまりの美しさに、去りがたい人がたくさん付近にたまっていたのが印象的だった。

風俗画も面白く、大型の作品も結構あった。みな美しい。庶民の生活を描いたものが多くあって、それらも庶民を描いてはいるけれど、どこか水で洗ったように清らかだ。

登場する女性たちの着物の合わせ方、仕草、着方も今とは全く違ってどこかゆったりした優雅な雰囲気が漂う。着物の柄や色など今とはまったく違いきれいだと思う。今の生活、街には合わないのだろうけれど。好みとしてはこちらのほうが好きだ。

穏やかで、清らかな世界を堪能する。清方の絵はどちらかというと「情熱」や「恋の怨念」みたいなものより、恋の狂気を描いていてもどこか自分の世界の中に頭の中を飛ばしているような、熱情よりも違うところへ心を遊ばしているようなもののほうが絵柄に向いていると思う。娘道成寺がお気に入りだったようだけれど、あれは娘の華やかさがいいのだろうなと思う。着物もうんと思い切ったものが使える。