箱根

まだ山の上は紫陽花には早い時期。箱根に行った。

場所は仙石原。関東は梅雨に入って天気が心配だったけれど、一泊だけなので、なんとかなるかなと。

箱根、いつぶりだろうと思う。二十年は行っていない。東京から近い高原リゾート。日帰りしようと思えばできる場所。車、電車とどちらアクセスが良く、避暑地、温泉地としても成熟しているので、遊んで滞在するところの選択肢が多い。

そういう場所なのだけれど、気軽なところや子供のころから連れていかれる(学校の移動教室などでも行くことが多い)ことの多い場所なので、意外と「さあ行こう」という旅行の行き先になりにくいのだ。

気軽に行ける場所に行こうという今回のコンセプトにはぴったり。以前行ったことがある場所が多かったけれど、すでに以前訪れてからかなりの年数がたっているので新鮮で楽しかった。

高原でまったりでもいいのだけれど、ちょっと行事っぽく自然も楽しもうと芦ノ湖からロープウェイに乗って、大涌谷、早雲山へ。大涌谷。そういえばこんなところあったな。と思う。火山の見学は以前はなんだか入っていけたような・・・と思うけれど、現在は予約が必要とのこと。子供のころ移動教室で来たと思う。それもあって、ゲートのこちら側で眺めて済ませてもいいかなと思う。命が伸びる?黒卵をそういえば一度も食べたことがない。と一度食べてみる。うむ。ゆで卵。しかし火山パワーがきっと入っているに違いない。

ロープウェイを乗り継いでずーっと山を登っていくと、乗っている人はほかにいないので、本当に空をふわふわと運ばれて行っているようで、不思議な気分になる。はるか向こうに緑の山。鳥の声。鳥がついてくるのか、ずっと同じ鳥の声が聞こえたり、すぐ近くで聞こえる。近くを鳶が飛ぶ。茶色い大きな翼が近くをすいっと通っていく。ロープウェイを追うように大きな鳥が飛ぶのを見ていると、いつもとは違う高さの世界を感じる。

時期や時間帯のせいだと思うけれど、逆方向(つまりは箱根湯本、強羅方面から)のゴンドラは人が結構乗っていたけれど、朝の時間帯で芦ノ湖方面から早雲山へ向かうゴンドラには人がまったく乗っていなかった。独り占め気分で山の上をすいすい。

一緒に行った姉が、早雲山でポストカードを出せるという。ロープウェイ駅の売店で専用ポストカード(箱根にちなんだ絵柄がポストカードと切手にデザインされている)を購入すると、売店のポスト型のところへ投入できるのだ。面白いので自分の家に出す(ほかの住所がわからなかったので)。自分に向かって絵ハガキ

お昼を食べていなかったので、駅の売店で蒸しパンを買い食い。雲ぱんという名前で売っているけれど、カスタードクリームが中に入った蒸しパン。本当に普通に蒸しパンだけれど、小腹を満たすのにちょうどいい。暖かいし、消化もよさそう。テラスでは足湯ができる。ぎっしり若い人が座っていたので、そこは使わず外を眺めながら蒸しパンを食べ、ここでロープウェイはおしまい。ケーブルカーに乗り換え。ケーブルカーは地面を走る。小さい小さい車両。そして止まるのは小さい駅。混んでいたら情緒がなさそうだけれど、比較的空いたので、面白く見る。狭い場所に駅を作っているので、片方のホームへ降りて隣のホームへ渡る道がない(方法がない)という駅もある。どちらのホームに降りるか見極めが必要なところもドキドキポイントで面白い。

そこからポーラ美術館の記念展を見たいという姉のリクエストでケーブルカーで公園上駅へ。そこからバス。

ポーラ美術館はきれいな建物と散策が楽しめる庭が特徴。庭にはオブジェ。姉は中でも掃除などでも触ってはいけない、崩れたり壊れたりするならばするままにしなければならないという芸術家からの指示があったというオブジェが見たいという。ポーラは勤めている人の感じがみんないい。皇居近くのあそことは雲泥。あそこの美術館はなぜあんなに一言の返事でもきつい雰囲気の人がそろっているのか。みんな幸せなのか。と心配になる(大きなお世話)。

というのはおいといて。ポーラ。

企画展も姉が見たいといっていたもの。久しぶりにがっちり油絵ルノワールなどを見る。そういえばこういうの見るの本当に久しぶり。最近油絵、とくにこういうたぐいのは見ない。ピカソも久しぶりにみる。

朝から曇っていた天気も晴れて暖かい中を庭を散歩した。いつもとは違う鳥の声。これ何かなあ・・・と思いながら聞く。

ほかに高齢の人もつれているので早めに宿へ。

夜はさすがに寒い。

次の日はホテルチェックアウトまでのあいだ、ラリック美術館へ。ここも久しぶりに来る。記憶があいまいだったので、場所や規模の記憶が全くない。行ってみると、ああそういえばこんな場所だったなと思う。作品は香水瓶などが多いけれど、充実していて見ていて楽しい。ラリックが嫌いという人はあまりいないような気がする。広い範囲の人が見て楽しい、美しいと思う生活の中の美を実現する作品たち。こういうところ、つまり暇になってしまうような場所で朝はやくから開いている美術館はありがたい。お昼前に帰ってきて早めの昼食を食べて、早めに山を下ることにした。

強羅付近まで降りてしまえば、あとは箱根湯本までなんとしても行けるだろうということで小涌園あたりへ。あいにく雨が降ってきてしまったので、岡田美術館へ。岡田美術館は行ったことがあったかなかったか・・・記憶がないのだけれど、入館の時のまるで空港のような荷物検査でふっと「あ、来たことがあるかもしれないな」と思う。

途中強羅付近をバスで通り、急に下界へ戻ったような気分になる。私の好みとしてはこの辺りまで降りてくるのは好きではないだろう。

小涌園にある物量が多すぎる岡田美術館。入館料が高めなのでおやっと思うけれど、五階建てのビルいっぱいに展示があるので、見切れない。チケットを3枚つづりぐらいにしてほしい・・・と思う。あるいは企画展だけのチケットを作ってくれまいか。真面目に見るならば何回かに分けないととてもではないけれど見きれない。心を残しつつ2時間でタイムアップ。2時間見ても全然足りなかった。が、それ以上は時間がないというよりは体力気力ともに持たない。やっぱり3枚つづりぐらいのチケットを売ってほしい。

一泊のみの予定なので、この日帰る。土曜日だったので途中で渋滞にあうといけないので、バスで登山鉄道駅へ出て、箱根湯本までは鉄道で行く。湯本で何か買い物でもしようかと思ったけれど、狭い道に人がいっぱいで身動きがあまり自由にできず、有名な「ちもと」に行っただけでここでも時間切れ。なんだかバタバタと東京へ帰った。ロマンスカー内は幼児をつれた夫婦グループに囲まれ、湯本から新宿までひっきりなしに叫んだり歌ったりする子供たちに囲まれる。やはり子育ては若くないとできないなと感心しつつ帰宅した。コマーシャルの歌をエンドレスで歌い続ける子供、うんち!ぎゃはは!と連呼し続ける子供。子供って同じことをずーっというものだなあ、この勢いで詞などを覚えていくのだなと思う。それに比べて大人は黙っている時間が多いのだ。と発見。