仕事場から出ると、夕方、近くで祭囃子を演奏しているのに通りかかる。もうそんな季節なのだなと思う。

近くの店や通りには祭りの名前の幟が立てられ、高張提灯には町名が墨字で書かれており、祭りの名前を書いたまあるい提灯がお店によっては下げられている。

祭囃子をしているよしず張りの台のまわりには揃いの半被を着た人達。それぞれはおそりだけれど、藍が色褪せている年長の人の半被は格好がいい。

祭囃子が聞こえてくると夏だなと思う。以前は祭囃子が聞こえただけでうきうきしたどうしようもないような気分になったものだけれど、今年は聞こえてきても、ああ調子がいいなぐらいの気持ちにしかならなかった。なぜだかわからない。以前のようにうきうきした気持ちになりたかったのに残念だと思う。

子供のころのような気持ちが消えてしまったのだろうか。

土曜日。

去年からだらからとしている食器の繕いの続き。錆びうるしがうまく乗せられなかったのもあって、そして、面倒だということもあって、作業は遅れている。前回錆びうるしを足してから、何週間か室に入れっぱなしにしていた。

でも、部屋の中に室を作っておくのも邪魔で早く終わらせてしまいたいとも思っていた。

今回も開けてみると足りない部分があるものの、もう嫌になったので次の工程へ。次は色漆。塗ってまた室へ。やっぱり室は片付けられない。邪魔である。