当麻曼荼羅

根津美術館で開催中の「仏具の世界」を見に行きました。

百万塔や幡に使われた正倉院裂、経や経を包んでおく経帙、散華を載せるお皿だとかといった仏教儀式に使用されるものや厨子高僧の書や肖像などの展示。

何が展示されているかあらかじめ知らずに行きました。

お経自身を美しく、書かれている文章をきれいに飾る金色の文字が整然と並ぶ経文。きっちりと書かれてきらきらと輝く文字は、何が書いてあるかわかりませんが、書いた人がこのありがたいお経を素晴らしいと思い、この経文を精一杯飾りたいという気持ちが伝わってくる。

経文をまいていた経帙はとっても素敵な色の組み合わせ。おしゃれだなあ・・・と思ってみました。

あらかじめ何を展示しているか知らず行ったので、驚いたのですが、当麻曼荼羅が展示されていました。室町時代バージョン。元の物の四分の一とか。それでもとても大きいです。十年か二十年前か忘れましたが、たくさんの当麻曼荼羅を見る機会があり、その時見たものは、経年で何が描かれているかまったくわからないものも多くありました。今回展示されているものはよく見えます。

見ていると、こちらも意味は分からないのですが、仏の限りない世界、果てしない世界を感じます。もしかして、見ているうちに人数(?)増えてる?だとか「要素が増えていっていない」と思うほど、見ているときりがないのです。見れば見るほど、あれ?そういえば・・・という部分がみつかり、曼荼羅をあちこち見ているうちに時間が10分20分たってしまいます。この日はあまり曼荼羅の前に人がいなかったので、誰もいないとき好きを見てじー・・・。人が来ると脇にそれ、だれもいなくなるとまたじー。

見ているときりがないので、適当なところで切り上げました。不思議な絵です。

曼荼羅の中では(全部わからないのですが)、当麻曼荼羅がすきなほうです。曼荼羅はいろいろあって、インドっぽい!というものもあったり、マッチョな厳しめな曼荼羅もあったり、ちょっと怖いと思うようなものもあるのですが、当麻曼荼羅はなんだかとってもやわらかくて優しいものが多い気がします。今回展示されていたものも、優しい、ふんわりと柔らかい曼荼羅

ほかの物も面白いものが多かったです。すぱーんと首のところで切られちゃった獅子とか(香炉にすうためって本当でしょうか。)は、でもくっつけてあったので、全体がちゃんと見られていて香炉でなくても、なかなかいい感じです。

愛染明王普賢菩薩の絵もいいものでした。愛染明王は躍動感というか腕を動かしていろいろなすべを使って私たちから悪を焼き払ってくれそうです。なんだか動いているみたいな絵。

普賢菩薩を見ていて、「そういえば普賢菩薩勢至菩薩も好きだし、愛染明王も獅子の冠がかっこいいし、普賢菩薩の乗り物も象で好きだし、動物に乗っていたり、しるしで持っていたりするのだ好き・・なのかな。」と思いました。

仏教美術や仏教についてはまったく知識がないのだけれど、見るのは好き。きれいだなあ、素晴らしいなあと思ったり、有名な僧侶の書を見ると、文字の書き方や線を折っていくことで「本当に生きてこれを書いていたんだな。」と思えたり。展覧会はふとそういう日常とは違う世界に行けるので好きです。

二階は西田コレクション受贈記念展示といつもの茶室展示。

茶室は「花ときの茶」。春のお茶。いつもこの展示で一番好きなのは一番目と二番目の展示と最後の器の展示。春らしい暖かな気持ちになるような絵や道具が並ぶ。

二番目の展示の黄瀬戸の向付、真ん中にお花の模様がついていて、かわいいなと思ってみていて、ふと説明を読んだら「油揚げ」と呼ばれる色(と質感)と書いて合って「なるほど!」と思いました。

茶室展示の掛け軸は春についての歌が書かれたもの。春なんだなあと思いました。