面白いのはお坊さんのメモ

奈良へ行った時の途中の京都の話続き

 

数分で京都国立博物館に到着。

この時期開催中なのは「茶の湯」展。

全体としては「喫茶文化との出会い」から、茶の湯が生まれ、大名茶道、煎茶道、近代の茶の湯というところまで。

途中国宝茶室の再現(結構すごい)や金の茶室の再現(これもすごい)の展示などなかなか力が入っていて、会場が広いので、見やすい展覧会だった。

聞けば「あー聞いたことある」という有名な茶碗など、現在の茶の湯に関連する展示も結構あったけれど、私が面白かったのは初期の「茶」。喫茶文化との出会い部分の展示。書物が中心(と時々絵巻などにちろっと出てくる。「お茶を作っている人」や「味わっている人」を部分に含む作品)展示で、なかなかマジカルな内容もあり面白い。お茶が薬、長生き、命を伸ばす、気付けなどの効用で飲まれていた時代の資料展示だ。

特に儀式で使用する際の次第をまとめたものなどは、なんだか見ているだけで「マジカル・・・」とお茶のパワーを信じた人々の気持ちを感じる。今は気軽にお茶を飲んでいるけれど、その今だって、お茶を飲むと少し元気が出たりするからなあ。昔の貴重品だったころはそれはそれは元気が出たに違いない。と思う。

中には坂上田村麻呂が出陣前に必勝祈願の写経をお寺に発注、それにこたえてのお坊さんたちの写経シーンの絵巻(の中で、写経チームの部屋の隣では窯がぐらぐら沸いてお茶の準備中。みんな必死で気付けのお茶を喫しつつの大写経。大量だからなあ・・・。清水寺縁起絵巻 上巻の中にある。e国宝で見てほしい。大般若経書写のところだ。)とか「大変だな・・・。」とお茶関係なく、昔の優秀なお坊さんたちのものすごい量の書きものに思いをはせたりするようなものがいっぱいあった。(途中で「間違えたーとかやめたーとか適当な人がいなかったのだな)そのなかでも一番「そうだよね!」と思った書物があった。

名前を忘れてしまったので、あいまいだけれど。やっぱりなんだか儀式なりなんなりの次第とかお茶の種類をどう使うだとかいったことをずらーっと書いているものだったと思う。その最後のところに「夜からずーっとこの書物を書いていて、夜明けごろ、もうぼーっとしてもうろうとしてきて、文字なかもくろーい点みたいに見えてきて、もうだめーってなった時にお茶を飲んでなんとかなったよ」みたいな一言メモみたいなのが書き加えられている巻物があった。なんかすごいな。えらい。そんな風に一生懸命勉強していてえらい。昔のえらいお坊さんたちについて思いをはせたのであった。

名物といわれるえらいお道具なんかも展示あり。

途中、「破袋」の展示前で私があんまり好きではないのを知っている母が「ねえ、これどう思う?」という。えー知ってるくせに。「あんまり・・・」と答えつつ、母だって苦手なタイプなのを知っているので「お母さんだって好きじゃないでしょ。」というと「うん」という。もー。

今もお茶はクリエーションという部分はあるのだろうけれど、当時はもっと「びっくりした?俺様が考えた今日のお茶だよ」というなんというか、楽しませるというかびっくりさせるというか、そういうクリエイティブ部分が重視されていたのではないか。というようなことを、展示会場から出たエレベーター前の椅子に座ってお休みしつつ話し合う。私は小堀遠州みたいなきれいさびが好きですよ。などと言ったりして苦手なお道具の話などする。(あくまでも見た目。お茶はしないし知らないので。)

京都博物館は途中、ちょっぴり外に途中で出られるのだ。

会場からガラス扉を出て廊下ではないけれど、順路以外の階段の踊り場があり、そこにベンチがあるのだ。とにかく展示を見ていると疲れるので、一休み。会場外であること、人がいないので、勝手にいろいろ批評したりして休む。

再び会場に戻ってもりもり展示されているものを見る。

たくさんみてなんだか私もとっても疲れてしまった。ちょっぴり頭がじんじんする。帰りもタクシーだ!と三十三間堂前からタクシーに乗り込む。ふー。

途中「大仏」の話になる(あのあたりに昔大仏があったのだ)が、私はぼーっとしていて「えーっとなんだっけ」となる。

タクシーでまた駅まで戻る。

11時ごろから展覧会を見ていて、2時近くまで見てしまった。お昼抜きなので、食欲がないといっても、何かおなかに入れておかないと体に悪かろう、ということで、駅の近くで何か食べることにする。

来る前はお茶漬けかなにかをさらっとと思っていたのだけれど、変な時間になってしまったのでオールデイダイニングの軽い、いい意味適当な店をと思う。駅前で割とよくいくお蕎麦屋へ。土曜日で混んでいるのか、コロナ対策でつめつめにしなくなって回転が悪くなっているからか、時間を外している割に(もともと人がいっぱいいるというのもある)結構待った。

そこからお蕎麦を食べたりしていたら結構な時間となり、近鉄駅に入るころは3時半少し前。

近鉄京都駅から(今回の宿は近鉄奈良駅のほうが近いのだ)急行で奈良へ。