二日目の朝

奈良の旅続き

1日目は昼寝タイムの後、晩御飯を食べ、その後また寝ておしまい。

2日目。

この日、八日初まいりをする予定だった。もらったチケットの注意書きとして、この日を含む数日間は祭礼のため、午前中はお参りができないとのことだった。午後にお参りをすることにし、午前中暇なので、ショッピングでもしようということになる。

朝から拝観できるお寺でもちょっと見て、その後お店が開く時間になればいいねと9時前に出かける。近鉄駅から近いというと興福寺かな、と興福寺へ行ってみる。あまり春日大社から遠くに行くと午後大変だから、なるべくこの付近にいたい。あまり広い範囲で移動すると疲れてしまうといけないし。午後お参りしたらすぐにホテルにかえって寝るという予定にしていた。

さて、子供のころからなんだかんだで奈良にぽつぽつと来ているけれど、一度も鹿と遊んだことがない。鹿せんべいというものを買ったことがないのだ。そこで、今回、「鹿せんべい買ってみよう。」というのを行事(?)の一つとしていた。

奈良の鹿は人なれしていて、よく人のサインを読み取る。観光客だろうと、鹿に関心がないという動作をしていれば近づいてこない。ふと、試しに近づいてきたとしても、こちらが「ふー」っと視線を逸らしたりすれば「あ、そうですか」と通り過ぎていく。

反対に「お、鹿だ」といった視線を送れば「お、何かくれるつもりですか?」という顔をして近づいてくる。

よく見てるな、と毎回思う。

そこで、今回、鹿に「その気ですよ!」という態度をとりつつ、せんべいを購入して見せるという「鹿をかまいたい観光客」丸出しの行為をしてみようと思ったのだ。

興福寺入り口付近にはもちろん「せんべいやさん」の縄張りである。

今回、初めて買ってみる!と家族にも宣言してきていたので、鹿地帯に踏み込むとすぐにせんべい購入。いつも通りせんべいやの周りには「やる気」のある鹿がたむろ。

朝いちばんだったので、まだあまりせんべいをもらっていない鹿に、購入したせんべいは大好評。好評のうちにあっというまに終わってしまった。

鹿くんたちはけっこう乱暴だけれど、なんというか、昔飼っていた犬を思い出した。

ずーっと哺乳類を飼わずにいたけれど、なんだか懐かしい。鼻でつーんと訴えてくるところとか。口のさきのしめった鼻と口が同時に手に触れる感じだとか。

なんだかちょっとうれしい。

なるほど、これはみんな夢中になる遊びだな。と思いつつ大満足。

興福寺へ入っていく。

そういえば、以前も来たなーと思う。来ると思い出すけれど、数年ごとにしか来ないので、すっかり忘れている。前回も「どーして人がいないのか」と言った三重塔の前で、また同じことを言って、二人とも「そういえば以前も来た」と思い出す。

北円堂を公開中で、見る。中の仏像やわきの像もすばらしいし、とても有名なものだけれど、お堂自体がとてもいい。母もとても気にいったという。

興福寺を南に出ていくと、街が広がっている。猿沢池横に出ると母が「これ、猿沢池?じゃないよね。」という。大昔に見た印象が強いらしく、近くまでお店がせまっていて、舗装されている感じがうまく記憶にリンクしないらしい。「猿沢池ですよ。」と近くに設置されている説明版を見せると驚いていた。

コーヒーが飲みたい。というのでコーヒーが飲めそうな喫茶店はないか探すけれど、うまく探せない。見つけたお店は2つとも満員で席がないという。困ってさまよっているうちに、行きたいなと思っていた鹿猿狐ビルに到着。

中川政七商店好きとしては、奈良本店は行ってみたかったのだ。表参道店がなくなって、伊勢丹新宿のちょっとしたコーナーがあるのかないのかといった感じで、たまーに日本橋にいるときだとか、偶然お店があったり(でもいつも偶然出会うのでどこにあるか覚えていない)、そういえばミッドタウンの通り道にあるけれど・・・。表参道のお店が好きだったので、ちゃんとした店舗に行きたかったのだ。(調べたらKITTEに東京本店があるとのこと。知らなかった。)

奈良は本拠地だから、きっとメガネケースあるよね!と思って行ってみたのだけれどなかった・・・・。残念。ネットショップを見ると、生成りと朱色のノーマルメガネケースはあるみたい。本店に行ったら、今使っている鹿小紋のとか、違う色もあるかなあと思ったのだけれど。店頭に並んでいなかった。がっくり。

もしかして、小紋だとかほかの柄は限定バージョンだったのかなあ。生成り、朱色、小紋と使い続けているメガネケース。割合内側がぱっくり割れてしまうものなので、予備で買いたかったのだ。それとお土産に色違いであれば買いたかったのだ。でもあきらめる。

あきらめてお菓子でもお土産に買って帰ろう!とお米をマカロニみたいにして揚げたあられのようなお菓子を買う。鹿型マカロニみたいなのを揚げているもの。鹿お菓子って意外とない(最中だとか饅頭に焼き印だとかそういうのはあるけれど)し、パッケージの絵もかわいい。

かわいいから配りものにしようっとと買っていたら、母親が「私もー。お向かいさんにあげたい。」というので追加で買う。

コーヒーコーヒーと探していたらアーケード商店街まで出てしまった。

奈良町散歩など、よくわかっていればよかったのだろうけれど。今一つ自分が思っている地図と実際の道がリンクせず、ついついこの後も商店街に戻ってしまう。(よくわからなくなった時、仕切り直しをしようとするとつい商店街に戻ってしまう)

商店街の適当な喫茶店に入りコーヒーを飲む。母はお疲れのようだ。10時過ぎぐらいだが・・・。

しばらく喫茶店にいて、一度ホテルに帰る。

お昼を食べる気がしないとうい母。聞いてみると「フルーツが食べたい。パフェとか。」という。

再び商店街を歩いていると「パンケーキでもいい」と言い出したので、まあ、とにかくそういうスイーツ系を置いているお店があれば、と歩く。

すると、変というか・・・ちょっと心配なお店を発見。八百屋が店の奥を整理して簡易テーブルとイスを置いて軽食を出しているようで、ワッフルの上にアイスを置いたようなものを売っている。母がこれでもいいというので入ってみることにする。

ちょっと甘すぎる(甘い生地に甘いソースがものすごくたくさんかかっていて、その上にクリームとアイスがのっている。そしてフルーツを甘く煮たようなものもかかっている。ワッフルにかかっているソースはいらないのではないか。)が、母は満足だとう、そういう一皿を食べる。

少し元気が出たという。

このお店、なんというか、「とりあえずやってみよう」みたいな感じで始めている感がすごくあったので心配だったけれど、それほど思っているものとかけ離れたものは出てこなさそうだ。喫茶というより、店先でなにか食べさせてもらうみたいな感じではある。

少し元気が出たところで12時過ぎとなった。春日大社へ向かう。