三番叟

昨日新年だと宣言したからではありませんが、遅ればせながらテレビで録画していた国立劇場新春上演「四天王御江戸鏑」を見る。

三番叟で始まるのも新春らしい。私は翁も好きだけれど三番叟も好きだ。歌舞伎の三番叟はあまり良く知らないけれど、煮ているなと思った。三番叟のあの呪術めいた曲、力強い舞は自然の力を呼び出そう呼び出そうとするように見える。

番組は色々入ったお楽しみ袋みたいな話で、豪華だし、楽しいし、少しおふざけがすぎるような気がするけれど、とにかく憂さ晴らしにはいい舞台。大筋は歌舞伎らしいぶっとんだ御伽草紙みたいな内容で好きなタイプ。鬼切丸、蜘蛛切丸できられたんじゃ?というものをなぜに復活?と思いつつ見ていると、悪者もこってりした格好で出てくるし、気楽に面白がれるぱっと明るく派手な番組。

芝居でもみてぱっといい気分になりたいというときに。

 時代も空間もすっとばして、多少(どころでもない場合もある)整合性が失われていても、辻褄が合わないぐらいの話が勢いがあって好きだ。新作になるときちんと辻褄があったきちんとした話になってしまうことが多い。現代人の悪い癖だよ。と毎回思う。きちんとしていなくても、何がなんだかわからなくても、その場面その場面、その瞬間その瞬間の辻褄やみたいものが合っている方が話が生き生きしてくるのだ。小説じゃないからかな。その場その場の真実があればOKというところがあると思う。今回のもうむちゃくちゃなぐらいの、そして段ごとに「これがいいでしょ?みたいでしょ?」という場面を作っているところなどいいなと思う。