この季節になると毎年食べたいなあと思い出すケーキがある。
子供の頃、母が作っていたフルーツケーキだ。売っているフルーツケーキはパウンドケーキに重めのフルーツが入っているというものが多く軽い口触りだけれど、母が作っていたのは何ヶ月もお酒を染み込ませる、ブラウンケーキ。
まずはドライフルーツを漬け込むことから始めていたような記憶がある。幼い頃作っていて私達が十代半ばになる頃には作らなくなってしまっていたので、どんな作り方なのかはわからない。ただ、ケーキを作る前にドライフツールをお酒の液に長いこと漬け込んでいたこと、焼き上がったケーキに長い日数をかけてお酒をかけては染み込ませていたこと、作るのがミンスミートを漬け込むことから始まるので、1年かけて作ること、焼き上がってから何ヶ月もあとのクリスマスに薄く切って食べたことなどのみ覚えている。
味は濃く、とても長持ちするケーキ。
普段のパウンドケーキのような厚さで切っては食べられない。固くどっしりとしたケーキ。
寒くて静かな季節になると、あれ食べたいなあと思う。