久しぶりにキジバトが歌っているのを聞いている。
私がまだおそらく10代ぐらいまでは家の近くにはキジバトがいつもいて、なんだか悲しそうなメロディで歌っていた。当たり前過ぎて、なんだか不思議な歌だなあといつも思うぐらいだったけれど、今、あまり聞かなくなると、たまに聞こえると嬉しい。
キジバトの雛は緑でかわいい。ムクドリの卵は鮮やかな水色でとてもきれい。これは子供の頃家の周りに鳥が割合いたから知っていること。
雀もたくさんいて、あっちこっちの家の戸袋に巣を作っては追い払われていた。今は雨戸が無い家も多いらしく、それだけではないだろうけれど、鳥たちはみんなどこかへ行ってしまった。
それほど自然が豊富というわけでもなく、家々に植木があるぐらいで近くに雑木林がちょっこりあるぐらいなのだけれど、家の近くには今考えると鳥がいた。今は本当に少なくなった。近所の家の植木もどんどんなくなったり小さくなったりしたからか、家の周りもすっかりかわったからか、それとも気候がもう変わってしまったからなのかわからない。小鳥たちがとても少なくなるのがこんなに寂しいとは思ってもいなかった。
鳥はいつも離れたところにいて、軽い体で飛んでいる。そこがとても好きだ。
だから偶然うんと近くにいるところを見ると余計感動するのだろう。
強い視線で見ると鳥は嫌がって飛んでいってしまうので、いつもそっとぼんやり見るように、でも、もうちょっと見たいなと思ってついじーっと見て飛んでいってしまう。