八日間初まいり

奈良に行った。

最初に奈良に行ったのは小学生低学年のころだろうと思う。それから学生時代に修学旅行で二、三回ぐらい行っているのではないか。修学旅行以外でも一回か二回ぐらい行っていたと思う。

奈良が好きだなあと思い始めたのは、たぶん十五年かもう少し前ぐらいからだと思う。そのころ、鼓の由来がある奈良県の南のほうのある神社に行ったりして、静かで豊かな奈良を訪問することが何回かあった。とにかく静かだった。そしていつも暮している場所や地域がどんなに音、さまざまな騒音に囲まれているかと驚いた。

その後、少しずつ、主に南のほうを旅行していた。旅行するときに近い時期に練習していた曲、例えば土蜘蛛だとか、三輪だとか、そういう曲に関係する土地があるとそこへ行ってみたりしていた。

そんな中で通り道である奈良市にもせっかくだからと寄ることも多い。

前回の春日大社の造替の前の年だったか、そのまた前の年か、そのころ春日大社に参拝したことがあった。その時は母が一緒にいて、境内で造替のための「檜皮一束」というのを募っていた。

記念に参加しよう。と母と参加したのがいい思い出になった。その後遷宮が無事終わったという知らせなども封書でもらったりしていたのだけれど、その時は時期が合わず行くことができなかった。

去年かおととしか忘れてしまったけれど、今度は若宮の造替があるので、また資金を募りたいという封書が来た。若宮の造替を式年に戻したいというようなこととも書いてあったと思う。そういうこともあるのか、と今回も遠方からだけれど、参加できるとは嬉しいなと思い、少しだけ寄進をした。

そんなことも忘れていた今年、大きな封筒が来た。何だろう、と思って開けてみると「若宮造替ができそうです。10月の末に神様のお引っ越しをしますよ。」というお知らせと引っ越しの28日の次の日からの八日間初まいりをしませんか、という特別参拝のチケットが入っていた。こういうこともあるのか、と珍しく思って、せっかくなので行ってみることにした。

せっかくなので、前回檜皮一束をした母をさそっていくことにした。

神様のお引っ越しの後は祭礼が続くそうで、数日間は午前中は中で何かしらの祭礼があるため、午後の参拝にしてほしいとのこと。なので、行った日はせわしないので(体力がない二人)、二日目の午後に参拝して、三日目に帰宅する二泊三日の旅行をすることにした。