そういえば

有名な映画や本であまりに有名なのでなんとなく知っているけれど、見たことがない、読んだことがないというものは結構あります。

最近、そんな本の中で樋口一葉の「たけくらべ」を読みました。最初は昔の表記だとか、風俗がよくわからない部分があったのですが、読んでいたら慣れました。そして、読み始めると止まらない。樋口一葉天才。なにこのみずみずしさ、透明感。きらめく十代の子たちの心。みずみずしい感性っていうのを今まで「よくわからない表現だなあ」と思っていたのですが、「これか」と思いました。そして断然面白い。最後の終わり方も素晴らしい。淡すぎる初恋、しかし、こういうのってあるな、お互い何も証拠もないけれど、なにか「あった」と思うようなことが。そしてそれをお互い知らないことが。

樋口一葉というと「たけくらべ」「にごりえ」が有名ですが、確かに代表作だなと思いました。この才能が貧しさにうもれてあっというまに消えていったかと思うと残念だなと思う反面、この若さで書けていたからこその作品なのかなあとも思います。次に「十三夜」を読んでみましたが、「たけくらべ」ほどのきらめきがないんですよね。題材によってなのだとは思いますが。きらめきすぎますよね、十二歳ぐらいから十五、十六ぐらいの少年少女の生き生きとした街っこの暮らしかあ。すごくよかったので、次は「にごりえ」を読もうかなー。