うちのお菓子

家庭のお菓子やお料理はお店と違って同じようなものでも、その作る人の癖みたいなものでそれぞれ違う味わいになると思う。

そんな中で、時々、失敗とはいわないまでも、多分、おそらく、本に書いてあるとおりの味じゃないんだろうな、というものが出来上がって、でも、それが妙に癖があって、好きになってしまい、我が家の味になってしまうことはないだろうか。

ちゃんとした人は「そんなことはない」というのかもしれないけれど、我が家には子供の頃そういう「あれ」の味があった。

その中でシナモンロールはまさしく「あれ」の味。あれ作って、の「あれ」。

母は「失敗した」と言っていたけれど、ちょっと癖があって売っているパンのどれとも違って(失敗だけに)、とても美味しくて大好きだった。きょうだいみんな大好きで、たくさん焼いて、たくさん食べた。

そういう母の「失敗しちゃった」というお菓子のいくつかは定番化してきょだいみんなの大好きなおやつとなった。多分、上手にきれいに作ったのでは味わえなかったちょっとしたひっかかりが美味しくくせになるアクセントとなったのだろうと思う。

今思い出しても、「美味しかったな。楽しかったな。」という記憶が蘇る。母の笑いながらの「失敗しちゃった。」と「でも美味しい。」とみんなで笑い合って大騒ぎで食べた味だからかもしれない。