平熱ヒーロー

ブラッシュアップライフ。こんな篤い友情の物語になるとは。と思っています。バカリさんがこんな暖かいお話を書くとは!

でも、もともと架空OLもあたたかい友情の物語だった(だから最終回にびっくりして「そんなのないよ!」と思ったのだけれど)。バカリさんの女性の友情物語は、その篤い友情を熱くは描かないところが、すごくいい。

今回のブラッシュアップライフの好ましい点としては、その友情を熱く描かないところ(でもものすごく高潔なことを主人公たちはしている。けれど、それを本人たちも淡々と行っている)、そして、何より「(だいたい)普通の人」だというところ。その普通の人がヒーローとなっているところがとても見ていて「熱い」ところ。魔法使いでも超能力者でも血統による異能でもない。この主人公とその友達の異能といえば「何回も生まれ変わること」ぐらいとも思える。物語中はだれでもそういう能力があるので、物語中では「異能」ではないえけれど、見ている私たちからすると「異能」だと思う。けれど、彼女らの本当の異能は「友達思いで(本人あまり自覚はないようだけれど)命がけで友達を救うと当たり前に決心できるところ。そして努力を百年以上続けられること。そしてその努力をあっさり友達のために捨てることができること」だ。彼女たちは友達とその周りの数百人の人を救おうと決心する。けれど、その手段ときたら「子供のころから猛勉強する」「こつこつ善をおこなう」(通学時のゴミ拾いレベルから友達や周りの人が悲しい思いをしないようにする)、「運動する」というのも。つまり普通のこと。でも、普通ではないこと。私たちがもしかしたらできたかもしれないけれど、しなかったことだ。それをコツコツコツコツし続ける。人生を5回も6回も経験しているので百年以上もそれを続けている。そういうところが、とても好ましい。魔法や超能力で解決したがらないところが、ものすごく感動的だ。そしてそれらを淡々と行うところが、とてもいい。暑いじゃなかった熱いセリフはない。余計なくどい「盛り上げ」がない。むしろ「余計」といわれそうなカラオケや塚地さんの登場がたっぷり繰り返される。そして主人公は様々な努力とそれをすべてかけることを自分の犠牲とは思っていない。ただ自然に「そうしたい」と思っているだけ。ただ友達の無事を願っているだけ。友達や家族との、普通の生活と楽しい会話を願っているだけだ。主人公(と途中から同志となる友達)は。とにかくかなり真面目。物語はとぼけた口調で日常を語る。でも、私たちの日常ってああいう感じだ。あの超人的な努力は別だけれど。

とはいえ、もともとは主人公は2回目から4回目ぐらいは自分のため(と思っている)、自分の生まれ変わり先種別の選択権を得るため、「徳をつむため」に努力をしていた。5回ぐらい自分の人生をかけた友情チャレンジしているのはまりりんのほうかな。それでも、主人公が望みを得るためにしていることは、ずーっとコツコツ自分のできる最大限の努力で人生を歩もうとするところは、さわやかなところだと思う。問題解決を「勉強する」「持っている情報で、根性でなんとかできる方法で周りの不幸を回避しようとする」で得ようとしているところが、普通のヒーローものとちがうところだと思う。でも、やっぱり超人的な能力を発揮していることは確か。でもその超人が超能力だったりものすごく力が強いとかではなく、今までの努力に裏打ちされているところがいいのだ。

前回、無念にもまりりんの作成が失敗。主人公もまた次周の人生を選択。その選択がとても勇気があるところがいい。そしてその勇気がやっぱり今までの努力に裏打ちされているところがとてもいい。そしてその選択が友情のためであり、友情を信じて、というところがとても感動的だ。そしてその感動的な行動をセリフの説明でも、まどろっこしいシーンでもなく、あっさり、そして、うれしそうに決断するところがとてもいい。

主人公と、その友達は最後の大作戦でいったいどうなるのか。このドラマでは、人生をよりよくするためにという明るいテーマ(なのだが、明るく飄々と描かれているから忘れがちだけれど、みんな死にすぎ)、そして人生は一回きりということが自然に見ている側に伝わってきて、面白くも考えさせられる不思議なファンタジーとなっている。それにしても死にすぎだよ!