燕子花図屏風の季節

Twitter根津美術館の入館予約のサイトが混んでいるといったお詫びのポストがされたのが流れてきたのが4月半ば。どうしたのかな?と思ってサイトを見に行ったら、次の特区別展が燕子花図屏風が出るという展覧会でした。そうか、そういえばそんな燕子花の時期か、と思って(その時はもう予約サイトは復旧したという投稿でした)、見に行って思いました。根津美術館の庭の燕子花や藤もいつも人気だし、この時期茶室でもお菓子が楽しめるという。気候もよくなってきたし、いい時期だなと思います。

毎年のように燕子花図屏風の展示があるので、見ていますが、季節の物だし、また見てもいいなと思って、4月のおしまいごろに根津美術館へ出かけました。

まったく何が出るか確認せずに行ったのですが、なかなか面白かったし、大好きな屏風も出ていたので大満足です。

「国宝・燕子花図屏風 光琳の生きた時代1658-1716」根津美術館

副題にあるように、光琳が活躍していた時期あたりの作品を展示して、どんな時代だったのか、全体に感じるという趣向。あれも、これも、面白い絵、屏風が出ていて、見ごたえがあります。一つ一つあげていくのはキリがないぐらいなので、あまり考えたことがなかったのですが、私はこの時期の作品がどうも好きなようです。毎回見て面白いなーと思う屏風「白楽天図屏風」にも会えて大満足。これ、能の「白楽天」をもとにした屏風絵で、ちょうど海を白楽天が渡ってきたところを、日本側の神様(おじいちゃん)が「もう日本はまにあってますよー。」といいに来る(?)シーンがダイナミックな構図で描かれています。波の表現といい、極端に波に乗って船尾をあげた船といい、図案化はされていないのに、どこかデザインされたようなところがある。そして、やってきた白楽天がなんだかお澄ましして座っていて、船頭も別に平気な顔をしてすごい状態の小さい舟にいて、日本側神様もひょこっと「こんにちは」とやってきた感じでなんとも親しみやすい絵なのです。しかも、大画面で大胆な構図で見ごたえあり。

そういえば、白楽天って(私自身が)やってことないなあ。なんて思いながら見ました。なんかすごく楽しい屏風です。

そのほか、夏草図屏風も好きだし、その前に飾ってあった四季草花図屏風も、美しいだけでなく、独特の風情があって、ちょっと神秘的な雰囲気もあり好きな屏風。こう考えると、あまり誰の、どこ工房のと思って絵を見ていないのですが、光琳の屏風を好きなのかも・・・と思い始めました。式草花図屏風のほうは光琳ではないけれど。

元禄のころコーナーの絵も三十六歌仙和歌単kザク貼交屏風だとか美しいし、わっしょいわっしょいで人がみな浮き立ってお参りに行く伊勢参宮道中図屏風も大画面いっぱいにみんなの浮き立つ様子が描かれていて楽しい。今回、出品目録にこの伊勢参宮道中図屏風の細かいどの図が何を現しているかの図が載っているので、この屏風を見ている人も「これはこれか!」と楽しそうでした。大津絵の素朴な面白さも惹きつけられるし、いろいろな種類の絵が見られて、どれも面白いなあと、特に何をという期待でもなく行ったのだけれど、存分に楽しめました。

最後のいつものお茶室展示は初夏の茶の湯。この辺りは毎回「へー」と見るばかり。このお皿いいなあとか、このお椀好きだとか、茶室展示についても、取り合わせだとかわからないなりに「こういう季節の時はこんな組み合わせなのかー。へー。」と思ってみています。水差しとか巨大だと「あれ、運ぶのかなあ・・・。」とかわからないなりに思いつつ見ています。

四月はあまり美術館に行けなくて、ここと、あとはサントリーのガラスの展示のみ。でも、二つとも、特に何も考えず、開催しているから行ってみようとふらっと行ったら、思った以上に面白くて、行ってよかったなあ(まあ、たいていの展覧会は「行ってよかったなあ」と感激しているのですが)と思ったと思った展覧会でした。なんだか得した気分になるのは不思議。