すたこら

朝、ベッドを直していたら(壁にくっつけておいているのだけれど、私はどうも寝ている間にその壁を蹴るというか、足をおいてぐーっと押すらしく、毎朝ベッドマットレスの上に乗せているエアウィーブ(薄いバージョン)が横にずれている)、枕の上を小さいいかにも軽そうな蜘蛛がすたこらすたこらと歩いていった。

蜘蛛はまくらの横においてある中国の奇妙な話ばかりを集めた捜神記や太平広記などを紹介した本の下へ潜っていった。

以前読んだけれど、なんとなく覚えていて仔細を忘れてしまったので読み返している本だ。多久弘一の本の中で最後まで残った方の本で、岡本綺堂泉鏡花の世話物じゃない方の話などが好きな私にはあの頃の作家の話の中でしばしば感じる、ところどころ「これが元の話かな」といったものも感じられて紹介本としても面白いのだ。元の本を読む気力がないので(捜神記や太平広記、聊斎志異、子不語)丁度いい本。

久しぶりに読むと、結構忘れていて、例えば、蟻の王が人間の姿で夢の中に出てくる話は、蟻は黒い衣としか書いていないのに、私はなんとなく黒で中国の宮中服の地味な方(名前が解らない。黒なのは蟻だけに。と思っていた。)のようなものを着ているイメージだった。けれど、普通に「黒い衣」としか書いてなかった。私が頭の中で勝手に足しているイメージだった。

だとか、そういう勝手に付け足しているイメージや、最終的な結末だとかそういったものが抜け落ちていた。だから「あ、これはハッピーエンドだったのか」とか「あ、これはこのまま終わるんだった。」といった物が多くて、自分の適当な読み方にびっくりする。