雪の日

雪が積もるほど降るということはこれが気温が高ければ、つまり雪にならなければ雨だったわけで、雨がそれほど降ったということなのだろう。と思う。

東京で積雪があるのは珍しく、年によるけれど、積もってしまうと交通は乱れ、人々は右往左往というのが毎回のコースだ。そういったことを除けば、電車から眺める木々の上、草の上、そして家々の屋根の上が同じトーンで染まっていてとてもきれいだ。いつもの野放図な勝手気ままな建造物の集まりも、雪に包まれればなんとなく美しく見える。

それにやはり画題にもなるだけあって、木々の上に雪がうっすら積もっているのはなんといっても美しい風景だ。それがいつも見ているほったらかしの枯れ木であっても。

東京の雪はシャーベット状にすぐなってしまい、凍ると危険で、ベタベタと張り付いて来てやっかいなので、できれば降ってほしくないし、降ってもすぐに溶けてどこかへ行ってほしいとは思う。けれどやっぱり降っているときは美しい。

年明けの東京としては大雪の日の翌日。電車に乗って窓を見ながら、雪を載せた屋根が目の前を通り過ぎていくのを眺める。いつもと違って面白い。それに雪の日の次の朝というのは、特に早朝、日の出前はいつもよりもしーんとしている感じがして好きだ。道も、道沿いのフェンスも木々も雪をかぶっていて、人がいなくてシーンとしてなんだかこもった感じがある。

雨用の長靴を履いて出るけれどそれほど頼りにならず、ちょっと滑るような足元で不器用に移動しながら、出会う知らない人々もどこかしら親しげに感じることがたまにある。みんなではないけれど、時たま。

とうとう1月が来て、これから一年のうち一番寒い季節となる。

七草は終わり、松の内が終わり、鏡餅が崩されお正月が去っていく。