導入

さて、お能の囃子の稽古のお話をば。

私が普段どんな稽古をしているか、といえば。

まず、先生。先生は現役中の現役で活躍しているプレイヤーなので、お忙しいのですが、そいういうお舞台の合間に三十分ぐらい、見てもらいます。

私が先生の前で演奏するのは「番囃子」というものです。

「番」とは「番組」の「番」。一つの曲(お話、舞台)を最初から最後まで通しで演奏するのが「番囃子」です。お能を見たことがある方はなんとなーくわかると思うのですが、お能は、全部が全部ではないのですが、大体以下のような流れで、ところどころ会楽器演奏が入ります。最初、中心となる人物以外の人か何かが出てきて、その前か、あるいはその後、楽器の演奏で、登場の演奏があります。どんな人の登場なのかお話なのか、場なのか、の雰囲気を紹介。その後続く、話の導入部の後ろでその場の雰囲気作りの演奏。そして、途中、途中で語りや謡の後ろで雰囲気づくりの演奏、中入りという途中でみな話の場から退場して狂言方が「ここまでの振り返り!」みたいな話をする前の退場の音楽、その後お話再開の前の登場の音楽、大体の話で一番の盛り上がりの場の「舞」の音楽、そして話が最大級に盛り上がるか、大事な最後の場所の「キリ」(ぴんからキリまでのキリ)の場の音楽。と後ろで楽器が演奏しています。ずーっと演奏しているわけではなくて、途中、語りのみ、になるところもあります。狂言が「本日の振り返り!」みたいな話をしているときは演奏していません。

番囃子とは、その「語りのみ」の部分だけを飛ばして、舞台をするように全幕ずーっと演奏することです。幕が開く前から、幕が開き、そして最後に退場するまで。人が登場していることにして、謡っている(語っている)後ろで「あしらい」という雰囲気づくりのバックミュージックを演奏したり、謡っている(歌っている)後ろでの演奏、そして舞っている音楽、と順番に演奏していきます。

お稽古では全幕全部演奏すると長くなってしまうので、一回目の演奏で前半、二回目の演奏で後半と、一曲を2回で仕上げます。

というように私の場合は稽古しています。

一か月に四回ぐらいそういう機会があり、そのほかに別の楽器、太鼓の稽古もあり。

というような感じでしています。これでなんとなく、何をやっているかの説明終わり。