放浪

100分de名著で「放浪記」が始まった。

以前、有名だから林芙美子を一冊ぐらい読んでみようと青空文庫でエッセイを読んだことがあります。たまたま女性に関するエッセイだったのだけれど、読んでいて「もういいよ。わかったよ。」と思うほど、同じようなことがずーっと、割合ぐちぐち書いて合って、よっぽど、このエッセイにかいたような女性が気に入らないような目にあったんだなあとうんざり。林芙美子は合わないんだな、と思って読むのをやめてしまいました。

今回の「放浪記」の紹介で、また、どれどれ読んでみよう。と読んでみました。今度は「放浪記」。以前のエッセイより、なんというか生き生きしていて、割合正直に自分の不遇時代の生活の、その場その場で思うこと、思ったことが書かれているように思えます。好きか嫌いかというと、あまり好きとは言えないものの、なんというか、ツイッターとか、そんなのを読んでいるみたい。SNS感あるなあと思います。カフェーの女給をやったり、急に店を飛び出したり、飛び出したのはいいが、やっぱりおなかが空いて空いて、女給やるしかないか、とまた違うカフェーで女給。といった不遇時代。後年、立派な小説も書けるようになったのに!と本人が思って、この初期のエッセイというか日記というか、SNS感覚の文章を気に入っていなかったのはなんとなくわかるような気がします。でも、そこがいいんだよーとも思います。若いころしか書けなかった、そして、かなりユニークな、書ける人の短文集。長く読まれるだけのことはあるんだなと、人気あるのもわかるな、とも思います。でも、私はもともとほとんど小説を読まないから、林芙美子の本を今後読むようにはならないだろうなあ。ちらちらと間に挟まれる詩みたいな、日常の自分の気持ちの表現が好きな部分かな。